化粧品の成分解析を鵜呑みにしてはいけません

化粧品を選ぶ際、最近では広告にまどわされずに自分の目で見極めることができる人が増えてきました。見極めるのに一番大切な情報は「表示名称」。化粧品の場合、表示名称が義務付けられていますので商品に入っているものがわかります。

情報化社会の今、ネット上では「成分分析」「全成分徹底解説」「毒性判定」など、素人から専門家と言われる方達による表示名称に対する意見が並んでいます。参考にしている人もいるかと思いますが、やはり自分の目で判断できることが一番です。

そこで、今回自分の目で判断できるための基礎知識についてまとめます。

表示名称の決まりごと

化粧品の表示名称には細かな決まりごとがあります。統一していないと各メーカーで好き放題できてしまいますし、消費者が的確に判断できません。まずはその並び順ですが、その製品における分量が多い順番に並んでいます

全部を表示しなければいけないのですが、表示されていない成分もあります。それを「キャリーオーバー」といいます。製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないものを指し、配合されている成分に付随する不純物などの成分もキャリーオーバーになります。

「水」はただ水を入れただけではない

化粧水などは特に、表示名称の先頭に「水」が記載されていることが多いと思います。これを、「あぁ、水を入れたんだ」と思うのはちょっと違います。

そもそも表示名称に記載されている原料は、そのまま単品で入っているのではありません。これはちょっと難しいかもしれませんが、例えばAという表示名称があります。これは、Aという原料を入れたのではなく、実はBとCをあわせた3つから成る「T」という原料を入れた結果なのです。「T」という原料はA,B、Cを混ぜ合わせて作られた原料ですので、表示名称にTとは書かず、バラバラにして、AとBとCが入っていると記載する必要があるのです。そのため、Tではなく「Q」という原料があったとします。このQにもBが入っていれば、TとQに入っているBを足してその量を表示名称順に並べます。

この化粧品の表示名称を作るのは結構大変な作業で、ただ入れた原料を順番に並べるのではなく、それぞれの原料の組成を調べ、合算した上で作ります。

このことを理解している人であれば、たんに「T」という表示名称をみて「これは保湿だ」などとは言いません。表示名称全部を見た上で、「〇■△の一部だな」と思うわけです。そこまでいきつくには化粧品原料に対する知識、各メーカーの原料組成を理解していないと難しいものです。

「水」に関して言えば、もちろんそのまま水を入れていることもありますが、AエキスやB、Cなど多くの原料に入っている「水」を合算した結果の「水」になっています。

表示名称から参考にすべきこととは?

表示名称とは奥が深いものです。化粧品会社で実際成分知識があり、様々な知識がないとその配合目的はわかりません。ただしそういう知識があれば逆に表示名称を見ただけでその商品のテクスチャーや目的がわかります。

一般消費者である購入者が表示名称から参考にすべきことは、自分にあわない成分が入っていないかどうかをチェックすることではないかと思います。化粧品に配合されている原料は、化粧品として使って大丈夫だという安全性が保証された原料。「危険な成分」と言われるようなものはなく、「どちらかと言えば刺激が強い」成分や、「石油系」などというイメージの悪いものに対して言われる言葉だと思われます。

化粧品によっては赤みがでる、ほてる、肌が荒れるなどの症状がある時には共通して入っている成分があったりします。そういう時はその成分を避けたほうがいいので、次回購入する時は表示名称で確認する。これが消費者にとって一番表示名称を確認するうえで大切なのではないでしょうか。